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タイムスリップ・アマデウス

現代のお医者さんが幕末にタイムスリップしたドラマ「JIN」、古代ローマから現代の風呂屋にタイムスリップした漫画&映画「テルマエロマエ」等、タイムスリップものが面白いですね。

ではもしモーツァルトが、あのウォルフガング・アマデウス・モーツァルトが現代の日本にタイムスリップして、コンサートを聴いたとしたら?

モーツァルトは沢山の人に沢山の手紙を書いたことで知られています。

2013.2.1-1
(妻コンスタンツェへの手紙の自筆)

そこでこのコンサートの様子や感想を彼の父、レオポルド・モーツァルトに宛てた手紙、という形で想像してみると…?

さて、この三通の手紙、一体何のコンサートを聴いた感想なのか、考えてみて下さい。




1.
2013.2.1-2

 お父さん、僕はとても驚いています。世の中にこんな音楽があっていいのでしょうか?僕はあれ程音階の美しさを引っ掻き回した曲を聴いた事がありません。でもお客さんは夢中で聴き入っています。不思議な土人ぽいリズムに酔いしれています。
 大体、オーケストラの編成がなんであんなに大きいんでしょうか?だからもの凄くうるさい。僕は途中から耳を塞ぎっ放しでした。よく見ると木管楽器なんかは皆キラキラしていて何だか僕の知っているのと違います。フルートなんかもどうやらあれは金属でできているようです。音色もギラギラしていました。それに、見たことがない楽器も混ざっていました。
 音階だけでなく、何だか拍子も変でした。指揮者はちゃんとした4拍子を振っていません。4拍子になったり3拍子になったり、時々素早く振ってみたり、かといってレチタティーヴォではなさそうです。こんなメチャクチャな振り方をしているのに、楽員はピタッと合うんです!一体どんな楽譜になってるんでしょうか?僕の想像では8分の5拍子みたいな狂った拍子が混ざったりしてるかもしれません。
 最初にファゴットがソロで「ド~シソミシラ~」と素っ頓狂に高い音で始まった時は「コイツ狂ったか」と思いました。その後異常に音が暗いオーボエみたいなものが出て来てだんだん楽器が加わり、次第に僕の「音楽の冗談」よりも凄い不協和音の連続、激しい太鼓の連打。どうやら何処かの野蛮な国の儀式をまねているような曲でした。
 しかしお父さん、この雰囲気には不思議な魔力を感じました。次第に引き込まれていく感じ、そこが恐ろしい。だから僕は怖くなって、思わず途中で退出してしまいました。僕とは違う世界かも知れませんし、こんな音楽に酔いしれている人々がいるのも現実なんでしょう。

2.
2013.2.1-3

 お父さん、僕はとても驚いています。世の中にこんな音楽があっていいのでしょうか?ここにはヴァイオリンもフルートもありません。気持ち悪い形のギターを弾いている男が数人。鍵盤があるけどピアノにしては小さい、箱のような物。クラリネットのような吹き口だけどグニャッと曲がった金属製の大きい管楽器。ゴミの固まりのように集まった太鼓や鉄の皿を1人でバシバシ叩いている男。そして何よりこの間のオケの何倍ものうるささ!僕は最初っから耳を塞ぎっ放しで、耳を押さえている手が痛くなった程です。
 音楽はこの間の土人みたいなものよりは、一応ドレミファがはっきり聞こえてきます。ただリズムが素直じゃありません。それにテンポがもの凄く速くて1曲1曲が僕のオペラの序曲よりも短いんです。ソナタ形式でもロンド形式でもないようですが、殆どワンパターンの形式です。いうなれば第1主題と経過部そして第2主題のセットが何回か繰り返されるって感じでしょうか?
 びっくりしたのは、この音楽で何十人もの若い女の子が舞台で一斉に歌ったり踊ったり。そのドレスからは脚が半分以上見えていて、それを少しも恥ずかしがらないんです!不思議なのはオペラの歌い方じゃないのに声が大きいこと。何処か違う所から聞こえていました。何か特別な仕掛けでもあるんでしょうか?
 もっとびっくりしたのは、お客がじっとしていないんです。殆どが若い人です。男の方が圧倒的に多かったなあ。座ってるのは1人も居ないし、立って一緒に体を動かしていて、時々「マリコ~」とか「トモチーン」とか叫ぶんです。僕が思うに彼女達の歌はあまり上手くないみたいですが、もうそんなことはどうでもいい世界のようです。あれはもはや演奏会じゃありません。パーティーです。でも同じパーティーなら僕はやっぱり飲んだり食べたり、楽しくお話ができる方がイイなあ。


3.
2013.2.1-4

 お父さん、今度は室内楽のコンサートに行って来ました。でも編成がヘンです。ピアノとコントラバス(この人は弓を使わず終始ピッツィカートでした)、そしてこの間のうるさい会合で見たひん曲がった金属製のクラリネットもどき、そしてあの固まり打楽器の4人です。それに各楽器の所には変な棒のような物が立っていて、どうやらそれに近づけて演奏すると音が大きくなるようです。だから4人だけなのに意外とうるさくて、またもや耳を塞ぎたくなりました。
 その音楽はやっぱりなんかひねくれていて、いいメロディーも時たまあるんですけど、やっぱり素直じゃない。長調か短調か判らない。とりわけ第3音や第5音なんかを半音下げちゃったりして、隣りの客はそれを「ブルー何とか」とか言っていました。それをどうやら各奏者が順番に更にこねくり回すんです!変奏曲のようにも聞こえましたが、どうやら彼等は譜面を見ないで思いつきでやっているらしい。それが一人ひとり終わる度に、(演奏中なのに)お客が拍手するんです。あ、お客はこの間程えげつなくはなかったけど、客席じゃなくてテーブルでお酒なんか飲みながら聴けるんです。この点は僕も気に入りました。しかも静かに聴いています。時々隣りの人とお喋りなんかするけど、音が大きいからお客はそんなに気にならないみたいです。
 そうそう、何か聞いたことのあるメロディーだなあと思ってよく考えてみたら、僕の曲が混じってました!確かに僕のg-mollのシンフォニーです!でも何でこの人達知っているんでしょう?


注:全部フィクション。念のため。



数あるモーツァルトの手紙から分析するに、やはり“天然”の彼は好みがハッキリし、気に入らない物は気に入らないと言うし、良い物は「イイ」と言う、それでいて優れた洞察&分析力を持ち合わせていると思います。

でも、もしモーツァルトが時代の変遷を考慮し、理解していたとしたら、その時代の音楽はここまでこき下ろさないかも知れず、むしろ天才は受け入れていたかも知れません。

逆に、やっぱり否定的な立場だったとしたら、手紙の内容はもっと下品に罵倒していたでしょうね。お食事中の方のことを考慮して、ここではそこまで表現しませんでしたが(笑)
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : モーツァルトの手紙 春の祭典 AKB48 ジャズ

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プロフィール

Yumochan(ゆもとようじ)

Author:Yumochan(ゆもとようじ)
本名:湯本洋司
フルート&ピッコロ奏者。アレンジャー。
(属)芸大フィルハーモニア/アマデウス・クィンテット/ムラマツフルートレッスンセンター講師

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