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神童モーツァルト「コジファントゥッテ」の真相!?

…一昨日、昨日と藝大オペラ公演がありました。演目はモーツァルトの「コジ ファン トゥッテ」。
プログラム表紙2011.10.3-1※4人の男女が隠れてます

自分はオーケストラピットで1st.Fluteを吹いていたのですが、途中10分以上出番がない事も何度かあり、その間何となく今回の公演プログラムを読んでいました。

その中でとても興味深いページを見つけました。藝大オペラ研究部の井形ちづる先生が書かれた解説文ですが、「こりゃ凄い話だな」と思ったので、ここに噛み砕いて紹介したいと思います。





「Così fan tutte」(コジファントゥッテ)とはイタリア語で「女は皆こうしたもの」という意味。「こうしたもの」とはどうしたものなのか?

このオペラでは「こうしたもの」とは「やはり恋人以外の人にも気を許してしまうものだ」」ってことを言っている。「女は皆浮気者」!?…何とも女性を馬鹿にしたタイトルだ。男はどうなんだ。でも何故こんなにひどいオペラがこんなにウケるのか?

ひとつことわっておかねばならないのは、このタイトルと台本はモーツァルトが考えたものではない。
イタリアの戯曲家、ロレンツォ・ダ・ポンテが作った物語で、モーツァルトはこれに音楽を付けただけである。だけであるが、この音楽がどれをとっても最高で、美しいメロディーが続き、人物の性格を見事に表現し、更には卓越したオーケストレーション。もうどれをとっても完璧で、話の内容はともかく、人気が高いのはまさにこの音楽自体のお蔭であろう。

で、ここからがモーツァルトの更に凄い話。ちょっとマニアックだが。

大体このダ・ポンテ自体、どうやらもの凄い浮気者で沢山の女性を泣かせてきたそうだが、そのせいかどうかはともかく、2組のカップルの中で展開されるこの不倫物語を、軽い喜歌劇(=大体めでたしめでたしで終わる喜劇)として書いていた。

ところがモーツァルトは、いやいやそんな軽々しい話ではないよ、浮気ってのは本気になると恐いんだよ、というメッセージをオペラ全体の中に隠しているそうだ。

ところが表向きは、そんな曲もセリフも見当たらない。一体何処に?

鍵は調性にあった。
解説文によると、登場人物の本心を歌う時はシャープ(♯)系の調、戸惑いや偽り、またお巫山戯(おふざけ)の時はフラット系(♭)の調で書かれているという事である。

この2組のカップル、名前をいちいち書くとややこしいので、ここではAのカップル(A♂&A♀)とBのカップル(B♂&B♀)とする。

物語の流れに従って…
1.A♀がA♂を想うアリア=♭
2.A♂がA♀を想うアリア=♯  この後不倫ゲームが始まる。
3.A♂とB♀の愛の二重唱=♭
4.A♂の単独アリア=♯
5.B♂の怒りのアリア=短調
6.B♀がA♂を想うアリア=♭
7.B♂とA♀の愛の二重唱=♯

要するに1から6まで、本心かそうでないか、または揺れ動く心や裏切られた怒り等を、このように調を分けて書いているのだが、注目すべきは7。シャープ系の調で書かれているという事は、この二人はもはや真剣に愛し合ってしまったのである。
実際ここの部分は、まさに3時間半に渡るこのオペラの中の最大の見せ場で、A♀は激しく戸惑いながらも遂にB♂に誘惑されて落ちてしまい、オーボエの最高に甘いメロディーがそれを引き立てる。涙が出る程絶妙な場面。

この後間もなく「所詮女は皆こうしたもの」という教訓が歌われ、一連のドタバタがあってから、女性達は「ごめんなさい」と謝って、人間関係は元の鞘に納まるという終曲。
だが、これはあくまでダ・ポンテの台本による流れ。モーツァルトもこれに従って作曲。でも実はB♂とA♀は愛し合ったまま…。勿論そんな事は音楽にはもう出て来ない。

そもそも、そんなドロドロにしちゃうような不倫劇は、当時は認められていなかった。でもモーツァルトの頭の中には…もしかしたらこの後の展開が音楽と共に頭の中にあったのかも知れない。何せ、あのドンジョヴァンニの最期のような、或いは夜の女王の雄叫びのような恐ろしい曲だって書いている人だから。



もしモーツァルトが35歳でこの世を去らずに、もっと長生きしていたら…なんて思う事があります。どんな曲ができていただろう?
交響曲第60番、フルート協奏曲第4番、更に沢山の宗教曲、器楽曲、そして「コジファントゥッテ」の続編…ああ、聴いてみたい観てみたい吹いてみたい。
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

tag : モーツァルト コジファントゥッテ 女はみなこうしたもの オペラ ダポンテ ドンジョヴァンニ 夜の女王

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プロフィール

Yumochan(ゆもとようじ)

Author:Yumochan(ゆもとようじ)
本名:湯本洋司
フルート&ピッコロ奏者。アレンジャー。
(属)芸大フィルハーモニア/アマデウス・クィンテット/ムラマツフルートレッスンセンター講師

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