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届かないアーチ

細かい事だが、まあ大事といえば大事な話。

「3連符」という音符がある。3とか5とか7とか、拍の中に割り切れない音符を無理矢理均等に入れる場合、その連符の上にその数字を書いて括弧でくくる…

2013.1.25-1
この「括弧」がポイント。

2013.1.25-2

括弧の書き方には特に決まりはないのだが、原則としてこんなカギ括弧でくくる(A)。上でも下でもよい。
だが、いちいち“カギ”を書くのが面倒臭い程の“急ぎ”の楽譜では、もう括弧は書かずに連符の真ん中辺に数字のみ(B)、いやその数字さえ書いてない場合(C)もある。

それはそれで、演奏者が譜面面(ふめんヅラ)から解釈すれば良いことだ。が、
厄介なのは“カギ”ではなく“アーチ”でくくってある連符。
2013.1.25-3

これも書き方としてはOKなのだが、時折このアーチが「3連符」の事なのか「スラー」の事なのか、判断に困る事がある。

スラーとはその音符の間を「滑らかに」奏する事。具体的にはタンギングをしないで指だけ動かしたりする。
アーチの両端がちゃんと音符まで届いてれば、紛れもなく「スラー」であろう(D)。
ではちゃんと届いていない場合(E)は?
もしかしたら、ただの3連符の事であり、スラーではないので、タンギングをするべきかも…

ま、この程度の事は、練習やら打合せやらで解決できるので、実はそんなに大した事ではない。
がしかーし、昔このことについて究極の選択を迫られた経験があるのだ。それは…?


今から35年前。まさに丁度今頃の時期。

当時はお茶の水にあった母校の入学試験。
入試は第4次試験まであり、1&2次が専門楽器の実技、3次がピアノとソルフェージュ、4次が学科と面接。
いちいち合格発表が挟まり、受験者が少しずつ減っていく。
その確か2次試験の時に「初見視奏」というのがあった。
初めて見る12小節程の小曲を、どの位正確に演奏できるか?という試験。
演奏前に1分だけ「譜読み」の時間が与えられる。

そしてフルートの課題だが、問題の箇所はその2小節目にあった。
4拍目にある3連符が、それこそ中途半端なアーチでくくられていたのだ。

受験生洋司は一瞬苦悩した。これはタンギングするのか、しないのか?
怖~い顔をした試験官の先生方には「これ、スラーですか?」なんて、とても訊ける状況ではない。
訊いても良かったのかも知れないが、その時の洋司にはとてもそんな勇気はなかった。
どうしよう?譜読み終了の時間は刻々と迫る…

ええい、一か八かだ!洋司はこのアーチを3連符の括弧と解釈して、この3つの音符を「TuTuTu」としっかりタンギングして吹いた…



毎年発行されるこの高校の「募集要項」には、前年度の試験課題が課題曲から学科の過去問まで全部載っています。そして初見課題も。

自分の入試の翌年度でも勿論発行されました。そこで早速あの曲の問題の箇所を見てみると…

2013.1.25-4

なんとしっかりスラーが取れているではありませんか!カギ括弧までつけて。
確か試験の時は(E)のように書かれていた筈。

これは憶測ですが、あの時あの箇所について迷った受験生が他にもいたのでしょう。もしかしたら、自分と同じようにタンギングした人もいたかも知れません。
だから逆に皆スラーで吹いていたら、ここにもスラーがついていたでしょう。
後で先生方が協議し、演奏が楽譜を変えたとも考えられるのです。

たかが括弧、されど括弧。ひとつの記号がその人の人生を左右する事だってあるかも…やっぱりないか(笑)

さあ、只今全国の私立高校も、丁度入学試験の時期です。
受験生の皆さん、ファイト!
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テーマ : 高校受験
ジャンル : 学校・教育

tag : 3連符 タンギング スラー 高校入試

プロフィール

Yumochan(ゆもとようじ)

Author:Yumochan(ゆもとようじ)
本名:湯本洋司
フルート&ピッコロ奏者。アレンジャー。
(属)芸大フィルハーモニア/アマデウス・クィンテット/ムラマツフルートレッスンセンター講師

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