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2つの「みどり」

グリーン・スリーブス

先週の日曜日は、高校時代のフルートの師匠:I先生と、千葉県船橋市にある老人介護施設での慰問コンサートに出演して来ました。

2012.10.26-1

ピアノは師匠の高校時代からの同級生、K先生。

フルート・デュオ&ピアノ/フルート・デュオ/フルート・ソロ&ピアノ/ピアノ・ソロという編成で、全10曲。最後は入所者の皆さんと「ふるさと」の大合唱。ほのぼのとしたコンサートでした。

プログラムの中で自分が演奏したソロの曲は、イングランド民謡の「グリーン・スリーブス」、よく耳にする有名な曲ですね。

日本語では「緑の小袖」、省みれば日本語の意味なんて全く気にせずに「グリーンスリーブス」「グリーンスリーブス」と言っては演奏してきた訳ですが、何故こんな曲名なのでしょう?

ふと気になって調べてみたら…



緑の小袖

当然の事ながら、歌詞の中に何度もこの言葉が出てきた。

Alas, my love, you do me wrong,

To cast me off discourteously.

For I have loved you for so long,

Delighting in your company.

Greensleeves was all my joy
,
Greensleeves was my delight,

Greensleeves was my heart of gold,

And who but my lady greensleeves.


おおかたこんな意味である(実はこの後、何と18番まで歌詞がある)。

ああ、私の愛した人はなんてひどい人
無情にも私を捨てた
私は貴方を長い間愛していた
側にいるだけでも嬉しかった

緑の小袖の貴方は私の歓び
緑の小袖の貴方は私の幸せ
緑の小袖の貴方は私の輝ける心
貴方以外には考えられない


どうやら、緑の小袖の女性にフられちゃったらしい。
ま、ただの失恋の歌かと思いきや、ルーツを辿ってみると凄い事がわかった。

この曲、作曲者は不詳とされているが、少なくとも詩(歌詞)を作ったのは、16世紀のイングランド王:ヘンリー8世ではないか、という説がある。
そして「緑の小袖の貴方」というのは、彼の2番目の妻、アン・ブーリン王妃のこと。

2012.10.26-2  2012.10.26-3

アンは元はヘンリー8世の愛人だったが、正妻の座を彼に強く要求し、最初の王妃を事実上離婚させて王妃になったのだが、その後不倫を繰り返した揚句、処刑されてしまったという凄い女性。
尤も、ダンナの方も、最後は愛も冷めていた説もあるが。

因みに、ヘンリー8世との間に生まれた女児こそが、他ならぬエリザベス1世。

「緑」という色は中世では「愛」を表す色とも言われているが、古きイングランドでは「不倫」「娼婦」「売春」という意味があったそうだ。
つまり「緑の小袖」は性に乱れた女性の証。この緑の小袖は取り外しができて、娼婦達は普段はこれを外して裏の顔を隠していた、ともいわれている。

アン・ブーリンの肖像画を見てみると…確かにその服のSleevesはGreenに見える。

あんなに美しいメロディーなのに、歌詞にはこんな妻の不貞を嘆く意味が込められていたとは…。

ところがこの曲、クリスマス・キャロルにもなっている。
19世紀の作詞家、ウィリアム・チャタートン・ディックスの詩があてがわれた「御遣い歌いて」がそれである。

What Child is this who, laid to rest
On Mary’s lap is sleeping?
Whom angels greet with anthems sweet,   
While shepherds watch are keeping?
This, this is Christ the King,
Whom shepherds guard and angels sing;
Haste, haste, to bring Him laud,
The Babe, the Son of Mary.

マリア様の膝の上で眠っている
この子は誰?
天使達がお祝いの挨拶を贈り
羊飼い達も見つめている
この子、この子こそが王キリスト
羊飼い達は見守り、そして天使達は歌う
さあ急いで、讃えよう
このみどりごを、マリア様の御子を

(讃美歌第2編216番)

「御遣い歌いて」についても、歌詞はこれだけでなく3番まであるが、このように生まれたばかりのイエス・キリストを讃えている讃美歌なのである。

同じ「みどり」でも「緑」と「嬰児(みどりご)」とではこんなに違うのが面白い。

既存の曲に別の歌詞を後付けするというのは、昔からこのようにあった訳だが、自分には「折角のこの美しいメロディーを『緑の小袖』のような悲しい歌だけに終わらせたくない」という、編曲者の強い想いのようなものが感じられてならない。



さて、そして来るアンサンブル・ウォームブリーズのコンサートでもこの「御遣い歌いて」が登場します。

どこで出て来るかって?それは当日のお楽しみ!

右枠をご覧下さい。ご来場お待ち申し上げますm(__)m

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テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

tag : グリーンスリーブス Greensleeves 緑の小袖 ヘンリー8世 アン・ブーリン ウィリアム・チャタートン・ディックス みつかい歌いて

プロフィール

Yumochan(ゆもとようじ)

Author:Yumochan(ゆもとようじ)
本名:湯本洋司
フルート&ピッコロ奏者。アレンジャー。
(属)芸大フィルハーモニア/アマデウス・クィンテット/ムラマツフルートレッスンセンター講師

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